無痛分娩 Q&A

Q3. 無痛分娩で用いられる鎮痛法にはどんな方法があるのですか?

陣痛を和らげるには多くの方法がありますが、このウエブサイトでは医療機関で行われる、薬を使って行う方法を説明します。

2つの代表的な方法があります。硬膜外鎮痛と、点滴からの鎮痛薬投与です。

硬膜外鎮痛では、硬膜外腔という背中の脊髄の近い場所に、局所麻酔薬という薬と、多くの場合それに医療用麻薬を加えたものを投与します(Q4「硬膜外鎮痛法とはどんな方法ですか?」をご覧ください)。 点滴からの鎮痛では静脈の中に医療用麻薬を投与し、痛みを和らげます。この2つの方法の比較を下の表にまとめます。

硬膜外鎮痛 点滴からの鎮痛
鎮痛効果 強い 弱い
処置の簡単さ やや難しい 非常に簡単
お母さんへの影響 意識ははっきりしている
多くの場合、呼吸は影響を受けない
眠くなったり、
呼吸が弱くなる場合がある
生まれたばかりの
赤ちゃんへの影響
ほとんどない 眠くなったり
呼吸が弱くなる場合がある

点滴により静脈の中に薬が入ると、その薬はお母さんの脳に届きます。薬の量はお母さんよりは少ないながら、胎盤を通過して赤ちゃんの脳にも届きます。 お母さんや赤ちゃんが眠くなったりすることがあるのはこのためです。 また医療用麻薬には、点滴による鎮痛の場合のように直接脳に届けば、呼吸を弱くする作用があります。 しかし、眠くなったり呼吸が弱くなったりするのは一時的なことです。お母さんの静脈への薬の投与を中止すれば、お母さんへの影響は長くは続きません。 また生まれたばかりの赤ちゃんが少し眠そうであっても、薬の影響がなくなれば元気になります。

硬膜外鎮痛では、脊髄と呼ばれる痛みを伝える神経の近くに薬を投与するため(Q4「硬膜外鎮痛法とはどんな方法ですか?」をご覧ください)、とても強い鎮痛効果があります。 また薬のお母さんへの影響は少なく、さらに薬が胎盤を通って赤ちゃんへ届くことがほとんどないことから、多くの国で無痛分娩の第一選択の方法とされています。

しかしすべての人が硬膜外鎮痛を受けられるとは限りません。 お母さんの血が止まりにくいとき、背骨に変形があるとき、神経の病気があるとき、硬膜外腔に薬を注入するための管を入れる場所に膿(うみ)が溜まっているときなどは、 硬膜外鎮痛を受けられない場合があります(Q18「硬膜外鎮痛をしてはいけない場合はあるのでしょうか?」を参照してください)。 また背中に針を刺すなんて恐いから受けたくないという妊婦さんもいるかもしれません。そのような場合には点滴から静脈に鎮痛薬を投与する方法を選択します。