理事長挨拶

一般社団法人 日本産科麻酔学会
理事長 海野 信也
一般社団法人 日本産科麻酔学会の発足にあたって
日本産科麻酔学会は2019年10月1日付で「一般社団法人 日本産科麻酔学会」として生まれ変わり、再出発をすることになりました。設立時の理事長として、発足にあたってのご挨拶を申し上げるとともに、本学会の沿革と今後の方向性について述べさせていただきます。
日本産科麻酔学会の前身である「無痛分娩研究会」は1961年に発足し、その機関誌「分娩と麻酔」は1963年に発刊されています。その後、1994年の「分娩と麻酔研究会」への名称変更を経て、2008年「日本産科麻酔学会」となっておりましたが、このたび本学会のさらなる発展のために必要な措置として法人格をもった「一般社団法人 日本産科麻酔学会」へと組織変更を行うこととなりました。
本学会の目的は、「産科麻酔学及び周産期医学に関連する基礎・臨床研究発表、会員相互の知識の交換、国内外の関連学会との連携協力を通じて産科麻酔学、周産期医学の進歩普及を図り、もって周産期医療の発展と質の向上に寄与すること」とされており、これまで一貫して産科医と麻酔科医が手を携え、会の運営を行ってまいりました。この学会のあり方については、今回の法人化による変化は全くございません。
今回の法人化は、第一に本学会の社会的信用を高め、わが国における安全で質の高い無痛分娩・産科麻酔の普及に、これまで以上に貢献できる体制を構築することを目的としています。これまでの任意団体としての日本産科麻酔学会の会員の皆様は、全員が新法人「一般社団法人 日本産科麻酔学会」の会員に移行することになります。今後の本学会の発展のためにどうしても必要な基盤づくりであり、ご理解を賜りたくお願い申し上げます。
わが国では、欧米諸国と比較して無痛分娩の頻度が低い状況が続いておりました。本学会はこれまで、わが国での無痛分娩の普及啓発、帝王切開の麻酔を含む産科麻酔全体の技術的向上と分娩の安全性の向上を中心とした活動を行ってきました。近年、無痛分娩を希望される妊産婦さんが明らかに増加してきており、それとともに安全な無痛分娩を提供可能な医療体制の確立の必要性が急速に高まっています。本学会は、産科麻酔という産科学と麻酔科学の境界的領域を担当し、産婦人科医と麻酔科医が学術面を含め切磋琢磨することのできる事実上唯一の学会です。わが国の無痛分娩の質と安全性の向上、産科医療、周産期医療の発展のために本学会の果たすべき役割は非常に重要になりつつあると認識しております。今後もわが国の産科麻酔の向上と安全性確保のために、より一層の努力を続けてまいります。皆様のご指導、ご支援を改めてお願いし、新法人発足にあたってのご挨拶とさせていただきます。
学術集会について
本学会では、近年は年1回学術集会を開催しています。長期にわたり毎年横浜で開催していましたが、2012年以降は、年度毎の学術集会長により運営されるようになりました。近年の学術集会は以下のように開催されています。
回 | 会期 | 学術集会長 |
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第116回 | 2012年12月8日・9日 | 埼玉医科大学総合医療センター産科麻酔科 照井克生 |
第117回 | 2013年11月30日 | 北里大学医学部産科学 海野信也 |
第118回 | 2014年11月23日・24日 | 北里大学医学部麻酔科学 奥富俊之 |
第119回 | 2015年11月28日・29日 | 順天堂大学麻酔科学ペインクリニック学 角倉弘行 |
第120回 | 2016年11月26日 | 順天堂大学産婦人科学 竹田省 |
第121回 | 2017年11月18日 | 関西労災病院麻酔科 上山博史 |
第122回 | 2018年11月23日 | LA Solutions 入駒慎吾 |
第123回 | 2019年11月23日・24日(予定) | 昭和大学医学部麻酔科学 加藤里絵 |
第124回 | 2020年12年13日(予定) | 聖隷浜松病院産婦人科 村越毅 |
会員数について
2019年8月時点での会員総数は855名で、そのうち産婦人科医が418名、麻酔科医が407名、その他が30名という構成になっています。