帝王切開の麻酔 Q&A

Q7. 局所麻酔ができないことはありますか?

お母さんや赤ちゃんの状態によっては、局所麻酔ができないことがあります。

とても急いだ手術が必要なとき:

赤ちゃんやお母さんの具合が急に悪くなったとき、例えば赤ちゃんの心臓の動きが弱くなったり、お母さんに急な出血が起こったときには、緊急帝王切開の中でも特に急いだ帝王切開をする場合があります。その際には、とても早く麻酔の効果が現れる全身麻酔が選択されます。

血液が固まりにくい場合:

お母さんの血液が固まりにくいと、背中から針を刺したり管を入れたあとに、背中の神経の近くに血液のかたまりができやすくなります。 血液のかたまりは神経を圧迫して神経を傷める場合があります(Q12 ⑦「硬膜外腔や脊髄くも膜下腔に血や膿のかたまりができること」を参考にしてください)。 これまでに血液が固まりにくい体質だといわれたことがある方は麻酔担当医にお伝えください。 また、妊娠やお産の経過中に血液の固まりやすさは変化することがあり、もともと血の固まりにくい体質でなくても、局所麻酔をすることができなくなることがあります。 通常手術や麻酔を行う際には、あらかじめ血液の固まりやすさの検査を行います。

大量に出血していたり著しい脱水がある場合:

このような場合に局所麻酔を行うと血圧が急激に低下する危険性が高いため、全身麻酔を選択します。

背骨に変形がある場合、背中の神経に病気がある場合:

背骨に変形があるときには、脊髄くも膜下腔に針を刺したり、硬膜外腔に管を入れることがとても難しい場合があります。 また背中の神経が病気に冒されているとその病気を悪くすることがあるので、神経の近くに麻酔薬を投与する局所麻酔は行えないことがあります。

注射する部位に膿(うみ)がたまっていたり、全身がばい菌に侵されている場合、高い熱がある場合:

正常な状態では、硬膜外腔や脊髄くも膜下腔(図4)は、ばい菌のいない場所です。 しかし、背中の注射する場所や全身にばい菌がいる場合は、背中から刺す針や管を介して、硬膜外腔や脊髄くも膜下腔にばい菌を持ち込んでしまう危険があります。

局所麻酔薬アレルギー:

局所麻酔薬に対するアレルギー反応はまれですが、起こると深刻な状態に陥ることがあります。 もしも以前に局所麻酔薬に対してアレルギー反応があった場合には、必ず担当医にお伝えください。

上に挙げた状態以外にも、局所麻酔を行えないときがあります。その場合には全身麻酔を行います。