Q10.硬膜外鎮痛は,いつ,どのように始めるのですか?

硬膜外鎮痛は、陣痛が始まって妊婦さんが痛み止めをほしいと感じ、産科医の許可が得られた時点で開始します。 子宮の出口が3~5cm開く頃までに始めることが多いですが、妊婦さんの状態や施設、産科医、麻酔担当医の方針により、開始時期は少しずつ異なります。

硬膜外鎮痛を行う際には、背中の奥に薬を注入するための細い管を入れますが、これはベッドに横向きに寝て、または、座って背中を丸めた姿勢で行います(図 5)。 最初にとても細い針を使って皮膚の痛み止めをします。そして管を入れるためのやや太い針(硬膜外針といいます)を刺します。 このときはもう皮膚の痛み止めが効いているので痛くありませんが、押される感じはあります。 針の先を硬膜外腔に進めたら、その針の中を通して管を硬膜外腔に入れます(図 3)。 その後、針だけを抜くと柔らかい管だけが体に残るというわけです。したがって針は体に残しておくわけでないので、管が入ってしまえば、背中を下にしたり、体を動かしたりしても大丈夫です。 この硬膜外の管を入れるのは数分から10分程度の処置です。

硬膜外の管から薬を注入すると20~30分で徐々に鎮痛効果が現れます。 効果が現れ始めたときには、陣痛が弱くなった、短くなったと感じる妊婦さんが多いようです。 効果が十分に現れると、お腹が張っているのに痛みがなくなっていることに気づくと思います。 同時に足が軽くしびれた感じがあるかもしれませんが、心配ありません(Q15「硬膜外鎮痛の副作用が心配です」の①を参考にしてください)。

脊髄くも膜下硬膜外併用鎮痛(図 4Q5「脊髄くも膜下硬膜外併用鎮痛とはなんですか?」を参照してください) を行うときには、硬膜外針が硬膜外腔に入った後に、(多くはその硬膜外針の中から)別のごく細い針を脊髄くも膜下腔に刺して脊髄くも膜下腔に薬を注入します。 その細い針だけを抜いて硬膜外針の中を通して硬膜外腔に細い管を入れます。脊髄くも膜下腔に入れた薬の効果は数分のうちに現れます。

硬膜外鎮痛のみでも脊髄くも膜下硬膜外併用鎮痛でも、硬膜外の管が入ったあとは器械(注入ポンプ)を用いて薬を持続的に注入することができます。 器械がない場合には一定間隔で、または痛みが出てきたときに薬を注入します。 注入は分娩の長さに応じて必要な時間だけ続けることができますので、薬の効果が途中で切れる心配はありません。 薬は局所麻酔薬という薬と医療用麻薬を混合したものを使うのが一般的です。