Q12.局所麻酔の副作用にはどんなものがありますか?

麻酔を担当する医師は、不具合が生じないように細心の注意をはらって麻酔を行います。 しかし麻酔の効果が得られるとともによく起こる副作用や、まれに起こる不具合もあります。

○ 麻酔の作用とともに現れる副作用

① 足の力が入らなくなる:

胸から足先までの痛みを感じる神経を遮断(ブロック)すると、同時に足の運動をつかさどる神経も遮断(ブロック)され、足を動かすことができなくなります。 しかし薬の効果が切れると、足の力は元通りになります。

② 低血圧:

背中の神経には、血管の緊張度合いを調節しながら血圧を調節する神経も含まれています。 したがって背中の神経が麻酔されることによって、血管の緊張がとれ血圧が下がることがあります。 血圧低下の程度が大きいと、お母さんの気分が悪くなり、赤ちゃんも少し苦しくなってしまうことがあるため、局所麻酔を行うときには、血圧は注意深く監視され、下がった場合には速やかに治療されます。

③ 尿をしたい感じが弱い、尿が出しにくい:

背中の神経には、尿をしたい感覚を脳に伝えたり、尿を出すための神経も含まれており、麻酔の効果が現れるとともに、膀胱に尿がたまってもそれを感じず、尿を出そうと思っても上手く出せません。 そこで、尿の出る通り道に細い管を入れて尿を外に出せるようにします。管を入れる処置は、背中の麻酔の効果が現れてから行うので痛くありません。

○ ときどき起こる不具合

④ 嘔気・嘔吐:

麻酔や手術が始まってから気分が悪くなることがあります。 麻酔の副作用で血圧が下がったことや、手術の操作などが主な原因です。 血圧が低ければ直ちに血圧を上げる薬を使って血圧を上げます。また吐き気止めや、麻酔の薬によって対処をする場合もあります。

⑤ お尻や太ももの電気が走るような感覚:

硬膜外腔に細い管を入れるときや、脊髄くも膜下に針を刺すときに、お尻や太ももに電気が走るような嫌な感じがすることがあります。 これは、管や針が脊髄の近くの神経に触れるために起こります。一般的にはこの感覚はほんの一時的なもので、特別な処置を必要とせず軽快します。

○ まれに起こる不具合

⑥ 硬膜穿刺後頭痛

硬膜外腔に細い管を入れるときに硬膜(図4)を傷つけたり、脊髄くも膜下腔に針を刺したことにより、頭痛が起こる場合があります。 この頭痛は、硬膜に穴が開き、その穴から脳脊髄液という脊髄の周囲を満たしている液体が硬膜外腔に漏れることにより生じるともいわれており、頭や首が痛んだり吐き気がでたりします。 ほとんどは産後2日までに生じ、症状は特に上体を起こすと強くなり横になると軽快するという特徴があります。 まず安静にすることや痛み止めの薬をのむことで治療をします。 それによって頭痛や吐き気が軽くならない場合や、物が二重に見えるなどの特別な症状が見られた場合には、患者さん自身の血液を硬膜外腔に注入し、 血をかさぶたのように固まらせることにより硬膜の穴をふさぐ「硬膜外血液パッチ」という処置を行うこともあります。

⑦ 硬膜外腔や脊髄くも膜下腔に血のかたまり、膿のたまりができること:

数~10万人に一人と非常に稀ですが、麻酔の薬が投与される硬膜外腔や脊髄くも膜下腔(図4)に、血液のかたまりや膿がたまって神経を圧迫することがあります。 放っておくと永久的な神経の障害が残ることがあるため、できる限り早期に手術をして血液のかたまりや膿を取り除かなければならない場合があります。 正常な人にも起こることがありますが、血液が固まりにくい体質の方や、注射をする部位や全身にばい菌がある方は、血のかたまりや膿ができやすいので、 局所麻酔を行うことができません(Q7「局所麻酔ができないことはありますか?」を参照してください)。